「フェイクニュース」という言葉もずいぶん一般的なものになりました。
アメリカの大統領選挙やロシアによるウクライナ侵攻の際にも、ずいぶん話題になりましたね。
フェイクニュースについて、下記のような不安や悩みがある方も多いのではないでしょうか?
これってフェイクニュースかしら?
フェイクニュースみたいなのが多くてウンザリ
フェイクニュースに騙されたくないわ・・・
フェイクニュースに関する不安や悩みをお持ちの方におすすめしたい本がこちらです。
↓
書店の新書コーナーで平積みされていることも多く、見かけたことがある人もいるのではないでしょうか?
この記事では軍事・安全保障を8年間独学で学んできた島ゾーリが、「フェイク」を実際に読んでの、
・著者の紹介
・「フェイク」の概要、作者の主張
・フェイクニュースに強くなるポイント4選
・これから読む人に伝えたい注意点
をお伝えします。
台湾海峡を巡る緊張が高まっていくにつれて、真偽の定かでないニュースに触れる機会も増えると思います。
「フェイク」はフェイクニュースに騙されない知識や考え方を身につけたい方におすすめしたい一冊です。
ぜひ最後までご覧ください!
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【著者】中野信子とは?
- 中野 信子(なかの のぶこ)
- 1975年、東京都生まれ脳科学者、医学博士、認知科学者
- 東京大学工学部応用化学科、東京大学大学院医学系研究科脳神経医学先行博士課程修了
- フランス国立研究所ニューロスピンに博士研究員として勤務
- 現在、東日本国際大学教授。脳や心理学をテーマに研究や執筆の活動を精力的に行う
- 科学の視点から人間社会で起こりうる現象および人物を読み解く語り口に定評がある
- テレビコメンテーターとして活躍中
- 「ひとはいじめをやめられない」「きれる!」「食う気を読む脳」など著書多数。
テレビで見たことがある人も多いかもしれないね。
【概要】「フェイク」を読んでわかること
↓「フェイク」を読んで分かること。
・人はなぜ騙されるのか
・生産的なフェイクの効用と活用方法
・悪意のあるウソと事例
・フェイクが活用された歴史的事例、事件
・フェイクとの付き合い方
フェイクニュース以外にも、人間とフェイク(=ウソ)にまつわることが網羅的に語られていておもしろいですよ。
著者の主張としては、
「フェイクは悪い面ばかりではなく、より良く生きるためにも必要なもの。
フェイクと上手く付き合い、活用して生きていこう」
って感じだな!
フェイクニュースに強くなるポイント4選!
ここでは「フェイク」を読んでフェイクニュースに強くなるポイントを、下記のとおり4つお伝えします。
・「人間の脳は怠け者である」と知る
・メタ認知を高める
・信頼できるメディアを複数持つ
・時間をかけて情報をインプットする習慣を持つ
いよいよ本題だっ!
1つずつ説明していきます。
人間の脳は怠け者である
本書では「人間の脳は怠け者である」「人間の脳は楽をしたがる」ということが繰り返し述べられています。
ところが、脳は一言でいうと怠け者です。思考へのプロセスでもできるだけリソースを使わないようにして、消費するエネルギーを節約しようとしています。これを脳科学では「認知負荷」を下げると言います。
フェイク/中野信子 p49
人間の脳は、論理的に正しいものより、認知的に脳への負荷が引く、つまり分かりやすいものを好むという性質を持っています。
フェイク/中野信子 p45
そして「人間の脳は怠け者である」ということを頭の片隅に置いておこう、とも述べています。
この認知構造に意識的になることが悪意のあるフェイクから自分の身を守り、自分の大切な人を守るための第一歩であると言えるでしょう。
フェイク/中野信子 P46
「人間の脳は怠け者である」ということが頭にあると・・・
疲れているときに、怪しい情報が飛び込んできた!
↓
今は疲れているから・・・判断は保留しておくわ
と出来るようになります。
人間の脳が怠け者である理由については、
「酸素の消費量が人間の臓器のなかで最も多いからだ」とのことです。
脳は、酸素の消費量が人間の臓器の中で最も多く、その占める割合は、身体全体で消費する酸素量のおよそ4分の1です。ですから、基本的にあまり働かないように、つまり思考しないようにして脳の活動を効率化し、酸素の消費を抑えようとします。
フェイク/中野信子 P49
フェイクニュースは人間の脳の弱点を攻めてくる!
人間の脳の弱点を把握してフェイクニュースから身を守ろうな。
メタ認知を高める
著者の中野信子さんは、騙されやすい人は「メタ認知が低い人」だとし、「メタ認知は高めることができると言われています」と続けています。
ここでは、下記の2点をお伝えします。
・メタ認知とはなにか
・メタ認知を高める方法
フェイクニュースとの付き合い方を具体的に学べる部分だっ。
ぜひ最後まで読んでってくれよな!
メタ認知とは
メタ認知とは「自分を客観的に見ること」です。
本書では下記のように書かれています。
メタ認知とは、「自分を俯瞰してみること」です。「自分が認知していることを客観的に認知すること」でもあります。
フェイク/中野信子 P167
メタ認知が高い人が騙されにくい理由として、
「自分を客観視することが苦にならないから」と述べています。
メタ認知能力の高い人は、比較的騙されにくいと言えます。というのは、自分思考や状況を客観視することがさほど苦にはならないので、「今は疲れていて判断が鈍るから、明日よく考えよう」などと考えることができ、騙す側の罠にかかりにくい状態をキープしやすくなるからです。
フェイク/中野信子 P168
大人になってもメタ認知は高くできるのかしら・・・
奥さん、大人になってもメタ認知は高められるそうですよ!
大人になってもメタ認知を高められる理由として、
「メタ認知を担当している脳の部分は、
大人になっても新しい細胞が生まれている」
↓
大人になってもメタ認知は高められる!
としています。
メタ認知の能力はある程度鍛えることができるものだと考えられるのです。
フェイク/中野信子 P169
メタ認知は、前頭前野の背外側前頭前野という部位が担っているとされています。この部位は大人になっても神経細胞が新しく生まれてくることがわかっています。
このことはメタ認知の能力が何歳からでも成長させることができることを示唆しています。
・メタ認知は「自分を客観視できること」
・メタ認知が高いと比較的騙されにくい
・大人になっても成長させられる
高める方法
メタ認知を高める方法として、以下の2つを紹介していました。
・普段から自分を内観し、記録を取る
・メタ認知が高いと思われる人と過ごす
それぞれ解説していきます。
普段から自分を内観し、記録を取る
メタ認知を高める方法として「普段から自分を内観し、記録を取る」を挙げていました。
具体的な方法としては、
・日記をつける
・メモを取る
という方法を提案しています。
例えば日記をつけたり、メモをとったりするのもよいでしょう。自分の行動とその時どのように感じたのかをなるべく盛らずにありのままを記録するのです。
フェイク/中野信子 P169
さらに「定期的に振り返ることが重要」だと述べています。
重要なのは、たびたびその記録を読み返すことです。繰り返すことで、自分の性格や行動パターンが見えてくるでしょう。
フェイク/中野信子 P169
すると、自分は正直者であり、なおかつ騙されにくいと思っていたのに、自分が意外にたくさんのウソをついていて、しかも、コロリと騙されやすい側面があったなどの気づきを得られるはずです。
必要なのは、「人はウソをついてしまうものなのだ」、そして「騙されやすいものなのだ」と認めることです。
定期的に振り替えることで・・・
・人はウソをついてしまうものだ
・人は騙されやすいものだ
と認めることが大事!
メモを取るとか、内観するとかどうすればいいんだ!?
メモについては、こちらの本がおすすめです。
メチャメチャ売れている本ですね。
↓
↓自分を見つめると言えば、こちらの本も有名です。
メタ認知の高い人と過ごす。
メタ認知を高める方法として「メタ認知の能力が高い人と過ごす」というのを挙げています。
「ミラーニューロン」という脳の機能により、メタ認知の能力が高まることが期待できるようです。
あるいは「この人はメタ認知の能力が高い」と思える人と一緒に過ごすのも有効です。普段からの客観的な発言や、公平な行動が多いなと思える人です。
フェイク/中野信子 P170
いわゆるミラーニューロンを使い、メタ認知能力が高い人の思考パターンや行動パターンに触れ、日々それを意識することで、自然とあなたにもメタ認知の能力が育まれていくでしょう。
なんとなくわかるけど、
「メタ認知が高い人」ってどんな人なのかしら・・・。
メタ認知が高い人としては下記のような人が挙げられます。
・周りへの配慮ができる
・冷静で感情的にならない
・思考に柔軟性がある
「メタ認知の高い人の影響を受けて、メタ認知を高めよう!」
ってことなんだろうね。
信頼できるメディアを複数持つ
フェイクニュースに騙されないために、
「信頼できるメディアを複数持とう」と述べています。
フェイクニュース=ウソに騙されないためには、まず日頃から信頼できるメディアを複数チェックし、同じ事象について、情報を比較確認するということが重要です。
フェイク/中野信子 P170
下記のような注意点も挙げていました。
・ニュースの発信元や日付などを確認する癖をつけるのもいい
・匿名のアカウントには注意
・フォロワー数や動画の再生数は情報の信頼度とはあまり関係がない
・フェイクニュースを共有するだけでも、法的責任を問われることもある
発信元や日付の確認は、インテリジェンスの基本でもあるね!
信頼できるメディアなんてどうやって見つければいいんだ⁉
当ブログにおすすめの記事がありますよ( ̄ー ̄)ニヤリ
↓軍事・安全保障について学べるメディアを紹介しています。
フェイクニュースやインテリジェンスならこの人!を紹介しています。
↓
時間をかけて情報をインプットする
時間をかけて情報をインプットする習慣を身につけることで、
理性的かつ論理的に判断できるようになるとしています。
また、時間をかけて情報をインプットする習慣をつけることも大切です。
フェイク/中野信子 P171
また、人間の意思決定機構には下記の2種類があると述べています。
・「速いシステム」=様々な事柄に迅速に判断し、対応するシステム
・「遅いシステム」=理性的、論理的に判断しようとするシステム
人間の脳には、二重の意思決定機構があります。一つは「速いシステム」で、様々な事柄に迅速に対応しようとします。
フェイク/中野信子 P171
もう一つは、「遅いシステム」で、理性的そして論理的に判断しようとするシステムです。
二重の意思決定機構を踏まえたうえで、
「処理流暢性の高い情報」=簡単でわかりやすいと感じる情報
に気を付けるのがポイントとしています。
情報を選ぶ時にもポイントがあります。脳は、「処理流暢性の高い情報」を好みます。「処理流暢性が高い情報」とは、「簡単でわかりやすい情報」です。膨大・複雑でなく、整理されていて、一目瞭然、つまり考えなくてすむ、脳が働かなくてよいということです。
フェイク/中野信子 P173
まとめると「二重の意思決定機構」と「情報の処理流暢性」を踏まえたうえで、
×時間をかけてインプットする習慣がないと・・・
現代社会は処理流暢性の高い情報=簡単で分かりやすく感じる情報が流されやすい
↓
処理流暢性の高い情報=簡単で分かりやすく感じる情報を、脳は好む
↓
簡単で分かりやすく感じるフェイクに飛びつきやすくなる!
〇時間をかけてインプットする習慣があると・・・
簡単でわかりやすく感じる情報に触れる
↓
素早く判断する自分を疑う
↓
判断を保留し、エビデンスを探そうと判断できる。
時間がかかるインプットってどういうものなのかしら・・・
「時間がかかるインプット」としては、下記のものを挙げています。
・読書をして時間をかけて思索する
・エビデンスを探す
・参加して体験して思考するようもの
毎日のちょっとした積み重ねが、
フェイクニュース対策になるんだね!
【読む前に】軍事・安全保障に興味のある人はココに注意!
台湾有事!
情報戦!
うぉぉぉ、フェイクニュースに強くなるぞぉ!
意気込んで読み始めた方は、少し拍子抜けするかもしれません。
!!!
このブログを見ている方は、
・フェイクニュースに強くなりたいと思っている
・軍事・安全保障に興味がある
という方が多いと思います。
そんな方が「フェイク」を読むにあたって、頭に入れておいてほしい注意点を2つお伝えします。
・フェイクの捉え方が広い
・エビデンスは明確に示されていない
フェイクの捉え方が広い
本書では、フェイク・ニセを含む問題を考えることは、すなわち「ウソ」について考えることととらえ、フェイク=ウソという視点で、考察を進めていきたいと思います。
フェイク/中野信子 P18
本書では、フェイク=ウソ全般という広い捉え方をしています。
フェイクニュースを念頭に置いて読み始めると、
著者のフェイクの捉え方の広さに少し戸惑うかもしれません。
お世辞や謙遜もウソと言えばウソかもしれません
フェイク/中野信子 P34
アートやエンターテイメントもいわばフィクションです。
フェイク/中野信子 P89
私たちの生活に欠かせない貨幣も、大きな意味では虚構=フェイクの一種といえるでしょう。
フェイク/中野信子 P158
本書を通しての著者の主張としては、
「良いフェイクと悪いフェイクがあることを知り、フェイクと上手く付き合って、活用していこう」
というもの。
フェイクニュースに関することは本の中の一部です。
フェイクニュースのことだけを念頭に置いて読み始めると、
拍子抜けするかも。
エビデンスは明確に示されていない
大学の研究や実験が引用されることがありますが、論文へのリンクや、書籍の詳細などのエビデンスは明確には示されていません。
人は初対面の人と話すときに10分間に3回ウソをつくという研究結果があります。マサチューセッツ大学で心理学を研究しているロバート・フェルドマン教授が行った実験です。
フェイク/中野信子 P20
アメリカの心理学者のレオナルド・ビッグマンの実験によると、身なりのよい人と悪い人に対する周囲の人の反応が大きく変わることが分かりました。
フェイク/中野信子 P97
新書ということでページや文字の制約もあると思いますが、学術的な解説を期待している人にはちょっと物足りないかもしれません。
↓こーゆー本は参照文献とかたくさんありますね。
明確なエビデンスは示されていませんが、どれも納得感は強いものです。
エビデンスを目にするまでは「こういう実験もあるのだな」と頭の片隅に置いておく程度がいいかもしれません。
エビデンスを探して、
時間をかけて情報をインプットしていこう!(笑)
【まとめ】「フェイク」を読んでフェイクニュースに強くなれる?
最後に、この記事の内容を簡単にまとめます。
〇著者は中野信子
・脳科学者
・「キレる!」など著書多数
・テレビコメンテーターとしても活躍中
〇「フェイク」を読んで分かること
・人はなぜうそをつくのか
・人はなぜ騙されるのか
・フェイクの効用と付き合い方
・悪意のあるウソと事例
・フェイクが活用された歴史的事例、事件
・フェイクとの付き合い方
〇フェイクニュースに強くなる方法4選
・人の脳は怠け者であると知る
・メタ認知を高める
→日記書いて振り返る、メタ認知が高い人と付き合う
・信頼できる複数のメディアを持つ
・時間をかけて情報をインプットする
→読書、体験型のインプットなど)
〇「フェイク」を読む前の注意点
・フェイクニュースに特化した内容ではない
・エビデンスが明確に示されていない
「フェイク」は、
・フェイクニュースに騙されたくない
・フェイクニュースにどう対応すればいいのか知りたい
という方におすすめの一冊です。
フェイクニュースに関すること以外にも、人間とフェイクの関係についての記述もなかなか興味深いものがあります。
緊張感が高まったり、有事が起こってしまったときでも、
落ち着いて判断と行動ができるように、
フェイクニュースに強い思考を手に入れよう!
まずは「フェイク」から読んでみるのがおすすめです。
ここまで読んでくれてありがとう!
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↓無料で学ぶ方法をまとめています。
時間をかけてインプットしていきましょう!
↓専門家が議論している台湾有事のシナリオを4つ紹介!
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