- 防衛費の増額は必要?
- 戦争が起きたら国連は無意味なの?
- 敵基地攻撃能力って本当に必要?
- 台湾有事の具体的なシナリオはどうなる?
- 日本はどうするべき?
台湾有事に関するニュースに触れていると、上記のような疑問が湧いてきませんか?
中国軍による台湾海峡での演習も増え、日本でも防衛費の増額が盛んに報じられています。2022年2月からはじまったロシアによるウクライナ侵攻も終わりの気配が見えません。
この記事では、台湾海峡を巡る安全保障環境に関心がある方に向けて「ウクライナ戦争と米中対立(著・峯村健司)」を紹介します。
この本を読めば、台湾有事についての一般的な疑問を解消でき、ウクライナ戦争が日本に与える影響についての理解が深まります。この記事を参考にして、実際に本を手に取っていただけると幸いです。
↓この記事を書いた人
- 名前:島ゾーリ(シマゾーリと読む)
- 北朝鮮のミサイル発射の警報で叩き起こされたのを機に軍事の勉強をはじめる
- 軍事安全保障を独学して10年
- 主な情報源は本、専門家のX(Twitter)、BSのニュース番組、国際政治関係のYouTubeチャンネル
- 10年間の独学の知識をもとに「すぐに役立つ」安全保障関連の情報をブログで発信している

「記事で得た知識がすぐに役立つ」を意識して情報発信しているよ!
「ウクライナ戦争と米中対立」はどんな本?オススメする理由
台湾有事やウクライナ戦争が日本に与える影響について知りたいなら、読んでおきたいのが「ウクライナ戦争と米中対立」です。ここでは本書「ウクライナ戦争と米中対立」について、以下を解説します。
- 【オススメな理由】台湾有事の一般的な疑問が解消される
- 著者・峯村健司とは
- 「ウクライナ戦争と米中対立」はどんな本?
【オススメな理由】台湾有事の一般的な疑問が解消される

わたくし、島ゾーリが「ウクライナ戦争と米中対立」をオススメする理由はズバリ!
台湾有事についての一般的な疑問が解消されるからです。
台湾有事に関するニュースを見ていると湧くであろう下記のような疑問について、専門家の意見がわかります。
- 防衛費を増額する必要はある?
- 国際連合は無意味なの?
- 敵基地攻撃能力は本当に必要?
- 台湾有事の具体的なシナリオは?
- 日本はどうすればいい?
台湾有事に関する本やネット上の情報も増えてきましたが、台湾有事について知りたいときにまず手に取ってほしいのが本書「ウクライナ戦争と米中対立」です。

この記事では、上記の疑問について、本書内で述べられている専門家の意見を紹介していくよ!
著者・峯村健司とは?
- 1974年生まれ
- 青山大学客員教授
- 北海道大学公共政策学研究センター上席研究員
- ジャーナリスト
- 青山学院大学国際政治学経済学部卒業
- 朝日新聞の特派員として北京・ワシントンで計9年間勤務
- 優れた報道で国際理解に貢献したジャーナリストに贈られるボーン・上田記念国際記者賞受賞(2010年度)

記者時代の現場経験も豊富な有識者だ!
中国関係の情報をキャッチしたいならフォローは必須!
↓「台湾有事に備えてフォローしておきたい有識者」として、当ブログでも紹介しました。
↓ラジオ番組「飯田浩司のOK!Cozyup!」の出演も多数。
※峯村さんの出演は20:20~。
↓著書も多数あります。
「ウクライナ戦争と米中対立」はどんな本?

「ウクライナ戦争と米中対立」はザックリ言うと・・・
これからの世界情勢の行く末について、著者の峯村健司が国際政治や安全保障のエキスパートたちと議論していく
という内容です。
これからの世界情勢を予測するうえで、ウクライナ戦争が日本や世界に与える影響や、台湾有事についても様々な意見が交わされます。
著者と議論を交わす国際政治や安全保障のエキスパートたちは以下の5人。
- 小泉悠:ロシアの軍事・安全保障の専門家
- 鈴木一人:国際政治、宇宙政策、科学技術と安全保障の関係に詳しい
- 村野将:日米の安全保障政策、核・ミサイル防衛、抑止論の専門家
- 小野田治:元航空自衛隊・空将
- 細谷雄一:イギリス外交史、国際政治の専門家
「ウクライナ戦争と米中対立」で解消される台湾有事の疑問5選!

「ウクライナ戦争と米中対立」を読めば、台湾有事に関する以下の疑問について、専門家の意見がわかります。
- 防衛費を増額する必要はある?
- 国際連合は無意味?
- 敵基地攻撃能力は本当に必要?
- 台湾有事の具体的なシナリオは?
- 日本はどうするべき?
ここでは、上記の疑問の中から、以下の疑問について専門家はどのような考えを持っているのかを詳しく紹介します。
- 国際連合は無意味なの?
- 敵基地攻撃能力は本当に必要?
- 日本はどうするべき?
国際連合は無意味なの?→国連中心の秩序を維持すべき

ロシアによるウクライナ侵攻やイスラエルによるガザへの攻撃を受けて「国際連合や安全保障理事会は無意味なのではないか?」という議論がよく巻き起こります。
この点について、東京大学公共政策大学院の鈴木一人さんは「ウクライナ戦争と米中対立」の中で以下のように述べています。
ただ、私は国連に意味がないと言っているわけではなく、これからも国連を中心とした国際秩序は維持すべきだと考えています。国連の最大の価値は、世界中のほとんどの国が加盟していることです。(中略)敵対している国が同じテーブルについて物事を決めようとしたら、簡単に合意形成ができないのは当然です。でもそのような場所がなければ、世界には分断や対立が広がっていく一方ですよね。
ウクライナ戦争と米中対立 帝国主義に逆襲される世界(幻冬舎新書)/峯村健司 158ページ
「敵対していても世界中の国が同じテーブルに付ける場」としての国連を維持することの重要性を指摘しつつ、平和な社会を築くうえでの「信頼構築」の大切さについて、下記のように述べて第2章を締めくくっています。
あらゆる国から軍隊や兵器をなくすなどということは現実的に不可能です。だとしたら、「少なくともこの国は我が国を侵略することはない」といった国と国との信頼関係を構築していくことが、安全保障上、何よりも重要です。そのためには敵対する国同士が同じテーブルについて対話する場が必要なのであって、そのような理念で生まれたのが国連です。どんなに敵対する者同士でも、最低限これだけはやめようとの共通認識を作り、地道に積み上げていく。平和な社会を目指す現実的な方法は、結局それしかないのではと思います。
ウクライナ戦争と米中対立 帝国主義に逆襲される世界(幻冬舎新書)/峯村健司 159ページ

警察的な強制力が働かない国際社会だからこそ、分断や対立を防ぎ、信頼関係を築くための話し合いの場が大事!国際法に基づく秩序や平和を守り維持していくためにも、話し合いの場としての国際連合は重要!
【対談者】鈴木一人(すずき かずと)とは?
- 1970年生まれ。
- 専門は国際政治、大量破壊兵器不拡散、輸出管理、宇宙政策、科学技術と安全保障
- 東京大学公共政策大学院教授
- 内閣府宇宙政策員地経学研究所所長
- 立命館大学大学院国際関係研究科修士課程修了、英国サセックス大学大学院ヨーロッパ研究所博士課程修了(現代ヨーロッパ研究)
- 筑波大学や北海道大学を経て現職
- 著書に「宇宙開発と国際政治」(岩波書店)「技術・環境・エネルギーの連動リスク(岩波書店)など
↓BSフジプライムニュースや報道1930などBSニュース番組への出演も多数。
↓鈴木先生の出演は11:10~から

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敵基地攻撃能力は必要?→相手の追撃を防ぎ、コストを負担させるために必要

安全保障関連3文書の改定や、スタンドオフ兵器の開発など、海の向こうにある敵基地を攻撃する能力を日本は確保しようとしています。「専守防衛が基本なのに敵基地を攻撃する必要はあるの?」と疑問を持った方も多いのではないでしょうか?
しかし、中国の戦力増強やミサイル技術の向上により、攻めてきた相手を迎え撃つだけでは、日本を守るのは難しくなっているのが現状です。
ハドソン研究所の村野さんは中国との戦闘について、以下のように予想しています。
- 航空基地ははじめに大打撃を受ける可能性がある
- 航空機は打撃力の中心にならない
- 中国の移動式ミサイル発射機を事前に無力化するのは困難
- 中国からのミサイル攻撃を完全に迎撃するのは不可能
上記の予想を踏まえて、敵基地攻撃能力の必要性について、ハドソン研究所の村野さんは以下のように述べています。
だとすれば、われわれがやるべきことはミサイル攻撃の防御ではなく、ミサイル攻撃に続く中国軍の攻撃を防ぐことでしょう。たとえば中国の戦闘機が航空優勢を取るべく周辺に展開してきたり、中国の爆撃機が追加的な攻撃をしてきたりすることを防ぐために、相手の航空戦力を弱めることに注力する必要がある。そのためには、中国の航空基地をある程度まで破壊できる中距離弾道ミサイルか、極超音速滑空ミサイルのようなものを優先的に配備すべきだと思います。
ウクライナ戦争と米中対立 帝国主義に逆襲される世界(幻冬舎新書)/峯村健司 192ページ
↓敵基地攻撃能力の保持については、自衛隊でも以下のような見解を示しています。

引用:防衛省・自衛隊:1枚でわかる「反撃能力はどうして必要なの?」
また、敵基地攻撃能力を持つことは、以下のような効果もあると述べています。
峯村:そもそも、中国はミサイル防衛システムには力を入れておらず整備が進んでいません。日本がミサイルを配備することによって、中国側がミサイル防衛を整備しなければいけなくなる。中国側に新たなコストを負わせる効果があります。
村野:もし中国がミサイル防衛能力の増強を試みてくるのであれば、そこに追加的な投資をさせることになるわけですから、中国にコストをかけさせるという意味でも重要です。
ウクライナ戦争と米中対立 帝国主義に逆襲される世界(幻冬舎新書)/峯村健司 194ページ
※強調は筆者による

相手の第2撃、3撃を防ぎ勝利させないためにも敵基地攻撃能力は重要。敵基地攻撃能力を持つことにより、相手にミサイル防衛システムを整備するコストを課すこともできる!
【対談者】村野将(むらの まさし)とは?
- 1987年生まれ
- アメリカのハドソン研究所研究員。H.R.マクマスター元国家安全保障担当大統領補佐官らと共に、日米防衛協力に関する政策研究プロジェクトを担当
- 拓殖大学大学院国際協力学研究科安全保障専攻博士前期課程修了
- 岡崎研究所や官公庁で戦略分析・政策立案業務に従事したのち2019年より現職
- 著書に「米中戦争を阻止せよ トランプの参謀たちの暗闘」
- 共著に「新たなミサイル軍拡競争と日本の防衛」
- 監訳書に「正しい核戦略とは何か 冷戦後アメリカの模索」
当ブログでは(勝手に)お馴染みの村野さん!
↓フォローすべき有識者の一人として、他の記事でも紹介しています。
台湾有事に備えてフォローしときたい4人の軍事有識者【アメリカ、中国】 | お茶の間あんぜんほしょーぶろぐ
【無料で】ネットから軍事・安全保障を学ぶ方法まとめ | お茶の間あんぜんほしょーぶろぐ
Twitterでは、議論の根本的なことを指摘してくれることが多いです。非常に助かります。

これからの活躍が期待される若手の専門家だっ!
今のうちからチェックしておこうぜっ!
日本はどうすればいいの?→ルールに基づく国際秩序を定着させるべき

各国が軍事力を増強し、パワーポリティクスに回帰していくなかで、日本や日本に暮らす私たちはどうしたらいいのでしょうか?
国際政治学者の細谷雄一さんは日本の実情について、以下のように述べています。
一方、十分な軍事力を持たない国は、国際ルールに依拠しなければ問題を解決できません。そして戦後の日本は強大な軍事力を持たない平和国家としての道を選択しました。主要国の中でも抑制的な軍事力しか持たない日本は、ルールに基づく国際秩序に依存せざるを得ない。その実情を忘れてはいけないと思います。
ウクライナ戦争と米中対立 帝国主義に逆襲される世界(幻冬舎新書)/峯村健司 323ページ
※強調は筆者による
十分な軍事力がなく、ルールにもとづく国際秩序に依存せざるを得ない日本はパワーポリティクスの世界に回帰する情勢の中でどのようにあるべきか?
細谷雄一さんは以下のように述べて、この章を締めていました。
核兵器を保有せず、攻撃的な軍事力も十分に持っていない日本がニヒリズムに陥り、「国際社会はパワーポリティクスだから、ロシアがウクライナを侵略するのも当然だ」などと偽悪的な態度を取るべきではありません。正義の問題とは別に、自らの国益の観点からも、ルールに基づく国際秩序を世界に定着させる努力をすべきではないでしょうか。
ウクライナ戦争と米中対立 帝国主義に逆襲される世界(幻冬舎新書)/峯村健司 323ページ
※強調は筆者による

軍事力が十分にある国は自らの問題を解決するために国際法を破ることもある。だからといって、諦めた態度を取るのではなく、ルールに基づく国際秩序を進めて良くことが大事!
それが正義のためだけではなく、国益や自分たちの身を守ることにもつながる!
パワーポリティクスが世界の基本
安全保障の話になると日本では「まずは話し合いで解決すべき」や「戦争より外交による解決を!」というような主張をよく目にします。
話し合いで解決できるのが理想ですが、実際の国際関係は理想とは遠くかけ離れており、日本で暮らす私たちは認識を改める必要がありそうです。
ここでは、本書で繰り返し述べられていた国際関係の実情について、各対談者の発言をまとめました。
(小泉)アメリカ、ロシア、中国の連中が「舐めてると殺すぞ」とやり合っている中で、われわれはアメリカに安全保障を委ねてきたから、そういう野蛮なことを考えずに済んできた。でも、たぶん本来の国際社会はそういうものではないんですよね。
ウクライナ戦争と米中対立 帝国主義に逆襲される世界(幻冬舎新書)/峯村健司 94ページ
※丸括弧内は筆者
(鈴木)国際関係は、いわば気合いと根性の世界なんです。覚悟を決めた国は、そう簡単に相手の言うことを聞きません。その意味では、本気でウクライナを屈服させようとするプーチンに経済政策が効くと考える方がおめでたいと私は思いますよ。
ウクライナ戦争と米中対立 帝国主義に逆襲される世界(幻冬舎新書)/峯村健司 120ページ
※丸括弧内は筆者
(村野)(ウクライナ侵攻を受けて)今回多くの人が、少なくとも力による現状変更を未然に防ぐという意味では、情報支援や経済制裁だけでは不十分であり、軍事力による介入可能性という下支えがなければならないとの思いを強くしたと思います。つまり、外交など軍事力以外のツールを前面に押し出して、安全保障における軍事力の役割を相対化しようという考え方には、やはり限界があるわけです。
ウクライナ戦争と米中対立 帝国主義に逆襲される世界(幻冬舎新書)/峯村健司 171ページ
※丸括弧内は筆者
(細谷)(今後の世界情勢について)ただし、米ソ冷戦と違い、今の米中間には外交レベルでも軍レベルでもさまざまなコミュニケーションが存在し、経済的にも相互依存しているわけですから、20世紀的な冷戦というよりは、やはり二極対立による19世紀的なパワーポリティクスと見るべきだと思います。
ウクライナ戦争と米中対立 帝国主義に逆襲される世界(幻冬舎新書)/峯村健司 303ページ
※丸括弧内は筆者

残念ながら現実は、軍事力を含む力の差が国際関係に与える影響が大きい。
安全保障をアメリカに依存してきた日本は、アメリカの力が相対的に落ちてきた今、主体的に安全保障について考えることが求められる。
【対談者】細谷雄一とは?
- 1971年生まれ
- 慶応義塾大学法学部教授
- 専門はイギリス外交史、国際政治学
- 北海道大学専任講師などを経て現職
↓著書も多数あります。

Xでも有益や情報を発信してくれている。イギリスやヨーロッパの安全保障について知りたいなら要フォローだ!
防衛費を増額する必要はある?→条件つきで悪くない話だと思いますね

厳しさを増している日本周辺の安全保障環境を鑑みた防衛力の抜本的強化のため、防衛関連費は年々増加傾向にあります。防衛関連費の増加に関するニュースをみて「本当に防衛費を増額する必要はあるのだろうか?」という疑問が頭に浮かんだ人も多いのではないでしょうか?
今後も増加傾向にある防衛関連費について、ロシアの軍事・安全保障の専門家である小泉悠(こいずみ ゆう)さんの意見を簡単に紹介します。
その意味では、防衛費をGDP比2%に増やすのは私は条件つきで悪くない話だと思いますね。さすがにもう少し弾薬を増やしたり、代替基地を整備したりということをしないと、人民解放軍の攻撃に対して最初の1か月をしのげない可能性がありますから。
ウクライナ戦争と米中対立 帝国主義に逆襲される世界(幻冬舎新書)/峯村健司 72ページ

予算の他にも、台湾や日本は地理的な影響から平時の準備がとても重要だ!
詳しく知りたい方は、ぜひ本書を手に取ってみてください。
【対談者】小泉悠(こいずみ ゆう)とは?
- 1982年生まれ
- 東京大学先端科学技術研究センター専任講師
- 専門はロシアの軍事・安全保障
- 早稲田大学社会科学部、同大学院政治学研究科修了
- 外務省分析員、未来工学研究所客室研究員などを経て現職
- ときどきXのアカウント名を変更しネットに笑いと困惑を届けている
- 主な著書に「現代ロシアの軍事戦略」「ロシア点描 まちかどから見るプーチン帝国の素顔」など

ロシアによるウクライナ侵攻を機に地上波テレビへの出演が爆増!見たことがある方も多いのではないでしょうか?
わかりやすい言葉で丁寧に解説してくれるのが嬉しい。今後の活躍が期待される専門家です。
↓最近は民間インテリジェンス機関を立ち上げ、YouTubeでの発信も開始!
台湾有事の具体的なシナリオは?

第4章の元空将・小野田さんとの対談では、台湾有事の具体的なシナリオについての議論が多くありました。
峯村:こうした議論を見ていると、今の日本人は中国が仕掛けてくる心理戦や世論戦、法律戦といった構成にとても耐えられるとは思えません。中国が本気でさまざまな圧力をかけてきたら、「戦わないで降伏しよう」という世論が出てくるはずです(以下略)
小野田:まったくそのとおりで、実は私が台湾に対して一番心配しているのもそこなんです。中国の工作によって台湾が内部崩壊し、統一派の台湾人を救うために中国軍が入ってくるというシナリオの蓋然性がかなり高いと思います。
ウクライナ戦争と米中対立 帝国主義に逆襲される世界(幻冬舎新書)/峯村健司 263ページ
※強調は筆者による
専門家の間で想定されているシナリオを把握しておくと、極端なことを言っているデマやフェイクに気付きやすくなります。

具体的なシナリオの他にも、戦術や物資の話、情報戦への対策など興味深い話が盛りだくさんな対談でした。
【対談者】小野田治(おのだ おさむ)とは?
- 1954年生まれ
- ハーバード大学シニア・フェロー
- 日本安全保障研究所上席研究員
- 防衛大学校航空工学科卒業
- 航空幕僚監部防衛課長、第7航空団司令兼百里基地司令、航空幕僚監部人事教育部長、西部航空方面隊司令官、航空教育集団司令官を歴任し、退職時の階級は「空将」
- 共著に「台湾有事と日本の安全保障 日本と台湾は運命共同体だ(ワニブックスPLUS新書)」「陸・海・空 軍人によるウクライナ侵攻分析 日本の未来のために必要なこと」など

小野田さんについては、ぼく自身、本書ではじめて知りました。
XなどSNSはやっておらず、一部YouTubeチャンネルへの出演はあるものの、ニュース番組への出演は多くないようです。
メディアへの露出としては、ネット記事の掲載が多く確認できました。


紹介したいYoutube動画やニュース番組への出演が確認できたら、追加してお知らせします!
【おまけ】ウクライナ戦争が日本に与える影響

本書「ウクライナ戦争と米中対立」では、ロシアによるウクライナ侵攻が今後の台湾海峡に与える影響についても、たびたび言及されていました。
↓ここでは簡単に紹介します。
小泉:たしかにそうだと思います。そこで逆に日本が学ぶべきなのは、やはり自衛能力がないと助けてもらえないということだと思うんですよ。
ウクライナ戦争と米中対立 帝国主義に逆襲される世界(幻冬舎新書)/峯村健司 71ページ
村野:(前略)その結果、「ロシアのウクライナ侵攻は国益を損ねるだけの誤った選択だった」という教訓を作りだすことができれば、中国が台湾侵攻の誘惑に駆られるのを、結果的に思いとどまらせることができるかもしれない。
ウクライナ戦争と米中対立 帝国主義に逆襲される世界(幻冬舎新書)/峯村健司 71ページ
※丸括弧内は筆者による
その他にも、
- 攻めてきた相手に抵抗するうえでのウクライナと日本の違い
- 重要なのはウクライナが勝つことよりも〇〇なことかもしれない
など、ウクライナ戦争を通して、台湾有事を考えるうえで重要な情報や視点が議論されていました。

ウクライナ戦争が台湾海峡を巡る日本の将来に与える影響はとても大きい!
遠い国の出来事だとは思わず、ぜひ本書を読んで自分のこととしてウクライナの状況を見てほしい!
まとめ|「ウクライナ戦争と米中対立」を読めば台湾有事に備えられる

「ウクライナ戦争と米中対立」を読めば解消できる台湾有事についての一般的な疑問について、以下のことを詳しく解説しました。
- 国際連合は無意味なの?→国際法に基づく秩序や平和を維持するための話し合いの場として重要
- 敵基地攻撃能力は必要?→相手の追撃を防ぎ、防衛コストを課すためにも必要不可欠
- 日本はどうするべき?→正義のためだけでなく、国益や自分たちの身を守るためにも、ルールに基づく国際秩序を進めて良くことが大事!
上記の他にも「防衛費の増額は必要」や「台湾有事の具体的なシナリオは?」「ウクライナ戦争は台湾有事にどんな影響を与える?」など、台湾有事に関心のある人なら持つであろう疑問を解消できます。
台湾有事について知りたくなったら、まず読んでおきたい一冊。
峯村健司さんの「ウクライナ戦争と米中対立」大変オススメです。
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